9月県議会の合間を縫って、第24回自治総研セミナーに参加してきました。
このセミナーは、私の弟(三野 靖)が、香川大学法学部教授に就任する前に、5年間研究していた(財)地方自治総合研究所が主催するセミナーで、かなり高度な話が聞ける場です。
毎年、9月県議会と重なるため、参加できなかったわけですが、今回は議会の合間を縫って、弟と一緒に参加してきました。
このセミナーの中で、特に印象深かったのは、前研究所所長である今村 都南雄 中央大学法学部教授の講演でした。
「民主党政権になったが、地方分権は進まないであろう」「せっかく取った政権であるから、自らの権限を弱めるような地方分権はやらないだろう」、なるほどと考えさせられました。
また、この総選挙において、「地方分権」があまり争点にはならなかったわけです。
あまりにも国民生活の破壊が著しく、「子ども手当て」「農業所得保障」など、国民生活に直結する課題が大きなテーマになり、中央集権的な発想にしかならない面があったのは、仕方ない状況だったと言われていました。
また、民主党のマニフェストには「地域主権」とありますが、主権は、国家や地域にあるのではなく、国民、住民にあることを忘れられて、この「地域主権」という言葉が使われているのは、憲法感覚からしてもおかしいと指摘されていました。住民から信託を受けて代表する議員は、このことを忘れてはいけないと考えさせられました。
新政権は、国直轄事業の地方負担金の廃止、ひも付き補助金を廃止し、地方が自由に使える一括交付金の創設など、地方分権の中の財源部分の方向性について、分権的な発想による基本的な考え方を示したことは大いに評価できると思います。
今後、地方分権改革推進委員会の第3次勧告の上書き条例などの権限の移譲と第4次勧告の税財政論議などの具体的な課題に注視していかなければなりません。
今回のセミナーのテーマーは、「目指すべきは『分権型社会』にとどまらない『自治型社会』である」ということでした。私たち地方自治に携わるものとしては、他人まかせの地方分権の推進にのみに、うつつを抜かしてはならないことを肝に銘じる必要があると思いました。