
第30回自治総研セミナー9月5日(2日目)、パネルディスカッション「低投票率時代の“民意”をどう考えるか」のテーマで、議員代表でパネリストとして参加してきました。
あとの二人は、新潟県巻町の元町長の笹口孝明さん、1996年8月4日に日本初の住民投票「巻原発・住民投票」を実施した方でした。現在、酒造会社の社長さんをしていらっしゃいます。
もう一人は、水口和恵さん、「小平都市計画道路に住民の意思を反映させる会」共同代表の方で、2013年5月に「小平市の都市計画道路の見直しを問う住民投票」を実施しましたが、住民投票条例の成立要件として投票率50%を付ける改正案を議会に出され、投票率が35.17%で不成立となり、せめて投票結果を開示するよう訴え、現在裁判になっています。コーディネーターに(公益財団法人)地方自治総合研究所研究員の菅原敏夫さんで、何と3時間に及ぶ議論で、会場からの質問も数多く出てきました。
その後、東京大学大学院法学政治学研究科の金井利之教授から「地域における民意」というタイトルで講演を聞きました。
最初は、地方議会が充分民意を汲み取っていないから、住民投票で補完していくみたいな構図の議論かなと思い、地方議員として被告人みたいな立場で嫌な気分で臨みましたが、議員になったきっかけ、国会と違って地方は二元代表制の良い点を主張できて、いい議論ができたと思います。
率直に言って、“民意とは何ぞや”永遠の課題かなと感じました。
民主主義社会においては、民意に基づく政治が行われるのが理想ですが、さて民意とは何か?
選挙という制度を通じて、政治の世界において民意が反映されるように考えられていますが、果たしてそうなっているのでしょうか?
民意の捉え方にも“選挙以外”にも色々あり、世論調査、団体の声、住民参加、住民投票など。
さらに民意の捉える範囲“地域の民意”と“全国の民意”など。
難しい課題であるテーマでした。
正直言って、首長選挙、地方議員選挙の投票率が低い中で、「選挙だけが民意を反映しているのか?」と言われば、疑問?
特に、首長選挙は、公約、人柄、資質などを総合的に判断して選出されているのではないか。
個々の政策というより、大きな方向性で選出されているのではないか。
当選したからと言って、候補者の公約は判断基準の大きな部分を占めると考えるが、公約すべてが支持されたわけではない。
「選挙で勝ったら、すべての公約が支持され、民意は我にあり」「白紙委任」的な首長の出現に危惧しています。(どこかの市長さん)
また、地方議会議員選挙でも、地域代表、業界・団体の代弁者、労働組合の代表、政党支持者の代表、市民団体の代表などの形で選出されているわけで、現実に個々の制度・政策の公約などが深く有権者に浸透しているわけでもないと思います。
確かに、選挙は議席数の結果の勝敗が基本ですから、自民党が一番大きな民意を受け、議会制民主主義においてその代表者たちが政治をリードするのは当然のことです。
ただ、低い投票率、高無投票で選ばれた政治家として、特定の政党・業界・支援団体を支援してくれるための民主主義ではなく、住民全体の未来のための民主主義にならなければいけないと思います。
そのために、決定に至るプロセス、熟議の時間の確保が重要だと感じました。
重要案件については、結果が同じでも、執行部と議員だけの質疑・質問だけでなく、議員間討論、参考人招致など専門的知見や公募による住民の意見表明なども取り入れた形で、熟議したうえで決定することが大事ではないかと考えます。そういうプロセスを踏めば、最後は多数決でも仕方ないと考えます。
私も、4月の県議会選挙で初めて無投票当選という形で議員になっているわけで、そういう心構えをもって対応していきたいと考えています。
ただ、どれだけの議員が賛同してくれるでしょうか?
政治不信、無関心。低投票率、無投票、多くの課題があります。
首長、議員の質が問われていると思いますし、有権者の方も考えていただきたいと強く感じたセミナーでした。